2006年09月25日

●Love For Sale / Anita O'Day

コール・ポーターが戦前、ミュージカルのために作詞作曲した歌で当時は放送禁止になっていたようです。日本の女性ジャズ歌手で、最初意味を知らずに歌っていたが、意味が分かって歌うのをやめたという人もいます。なぜか、この曲はジャズメン、ジャズ歌手が男女を問わず好んで取り上げる曲で、沢山の名演、名唱があります。その中で姉御肌のアニタ・オデイはバースの部分を省いてビりー・メイの軽快なアレンジと共に快調に気持ち良く飛ばしてます。

Love For Sale

Love for sale,/愛の売り物だよ
Appetising young love for sale./食欲をそそる若い愛だよ
Love that's fresh and still unspoiled,/新鮮でまだ痛んでない
Love that's only slightly soiled,/ちょっと汚れているだけの愛だよ
Love for sale./愛の売り物だよ
Who will buy?/誰か買わないか?
Who would like to sample my supply?/私の試供品を試してみない?
Who's prepared to pay the price, for a trip to paradise?
/天国への旅に誰か金を払わない?
Love for sale/愛の売り物だよ

Let the poets pipe of love in their childish way,/詩人には子供っぽい愛の詩を歌わせておけ
I know every type of love better far than they./私はどんな愛も奴らずっとよく知っている
If you want the thrill of love, I've been through the mill of love,/もし愛のスリルをが欲しいなら、私は愛の工場からきてるんだよ
Old love, new love every kind love but true love./古い愛も、新しい愛も、どんな愛もあるよ、本当の愛以外はね

Love for sale./愛の売り物だよ
Appetising young love for sale./食欲をそそる若い愛だよ
If you want to buy my wares follow me and climb the stair/もし、私の商品を買いたいなら私について階段を登って頂戴
Love for sale./愛の売り物だよ
Love for sale./愛の売り物だよ

まさに直球勝負で実に分かりやすい詩です。ちなみにここでは歌われていないバースは

When the only sound in the empty street./人気のなくなった通りに聞こえるのは
The heavy tread of heavy feet that belong to a lonesome cop, I open shop./寂しい警官の重い足取りの重い足音だけ、(そんな頃)私はお店を開く
When the moon so long has been gazing down on the wayward ways of this wayward down that her smile becomes a mirk, I go to work./気まぐれな街の勝手な方向に伸びている街路をいつまでも見つめていると月も飽きて笑顔が作り笑いに変わる、(そんな頃)私は仕事にでかけるのよ。

コール・ポーターは、否定も肯定もせず、人間てのはこういうもんだという情緒抜きのカラッとした歌を作りたかったんだろうと思います。

2006年09月24日

●目蒲線物語/おおくぼ良太


今はもう無い目蒲線ですが、その目蒲線が、実は東急東横線と田園都市線の間の子で、しかし、実の母は今無き赤羽線だったという、涙なくしては聞けない物語です。おおくぼ良太氏は振り出しはフォークソング歌手でしたが、その後お笑いや司会業をやっておられたようです。現在は残念ながら「あの人は今?」状態です。

トホホ度★★★★
お笑い度★★★☆
意味不明度★★★





2006年09月18日

●Sing Joy Spring / Manhattan Transfer

今回はデビュー当時からヴォーカリーズに取り組んできたマンハッタン・トランスファーのアルバムでその名も「ヴォーカリーズ」の「ジョイ・スプリング」です。オリジナルは夭折の天才トランペッター"クリフォード・ブラウン"とドラマーの"マックス・ローチ"の双頭バンドが1954年に吹き込んだ「クリフォード・ブラウン アンド マックスローチ」というアルバムの1曲です。クリフォード・ブラウンは1930年生まれで10代の頃からその天才を発揮し、このアルバムを吹き込んだ頃には既に押しも押されもせぬ大スターになっていましたが、1956年25歳の若さで同僚の”リッチー・パウエル”と共にリッチーの妻が運転する車の事故で亡くなってしまいました。彼の死はジャズ界に衝撃を与え、後に「アイ・リメンバー・クリフォード」という美しいバラードが作曲され、今でも歌い継がれています。「ジョイ・スプリング」はその名の通り、春の喜びを歌っており、クリフォード・ブラウンの明朗快活で無理の無い美しいフレージングは何度聞いても気持ち良く聞けます。

アルバムタイトル:クリフォード・ブラウン アンド マックス・ローチ
曲名:ジョイ・スプリング
録音:1954.8.6(LA)
ソロ順:ハロルド・ランド(ts)→クリフォード・ブラウン(tp)→リッチー・パウエル(p)
ハロルド・ランドとクリフォード・ブラウンの2管のアンサンブルによるテーマからまずハロルド・ランドのソロに入ります。次にクリフォード・ブラウンのソロになり、次第に急速調になりながらも、破綻無く美しいメロディを紡いでいます。もう一人のリーダであるドラムスのマックス・ローチは全体的に控えめで後半のフォーバース・チェンジ(4小節ずつタイコと管楽器が交代で演奏する)とそれに続くブラシでのソロのみです。リーダがドラマーのバンドは兎角ドラムソロが増え、五月蝿くなりがちですが、マックス・ローチは旨くバランスを取っています。尚、このテイクの最後にはアシスタントディレクターの声が入ってます。

アルバムタイトル:ヴォーカリーズ 曲名:シング・ジョイ・スプリング 録音:1985 ソロ順:ティム・ハウザー(ts)→ジャニス・シーゲル(tp)→ウォルター・ディビス・ジュニア(p)→ディジー・ガレスピー(tp) まず、ティム・ハウザーがハロルド・ランドのソロを歌い、次にジャニス・シーゲルがクリフォードブラウンのソロを歌っています。元々のソロの出来が良いとはいへ、これだけ歌いこなしてまうジャニスには脱帽です。次にウォルター・ディビス・ジュニアのピアノ、そしてゲストとして御大ディジー・ガレスピーが余りでしゃばらず、ユーモラスなソロを披露しています。最後にフォーバース・チェンジを唄ってテーマに戻ります。

2006年09月17日

●Casablanca / Bertie Higgins

バーティヒギンズの最大のヒットはこのアルバム”Just Another Day in Paradise”の中の「キー・ラーゴ」という曲でこれ以外は鳴かず飛ばずでした。しかし、このアルバムの中の「カサブランカ」を郷ひろみが歌った事により逆に米国で注目されたようです。ネットによれば彼はゲーテの子孫だという噂もあります。

Casablanca

I fell in love with you watching Casablanca/カサブランカを見ながら君に恋した
Back row of the drive in show in the flickering light/ライトが点滅するドライブイン・シアターの一番後ろの席で
Popcorn and cokes beneath the stars became champagne and caviar/星空の下でポップコーンとコークがシャンペンとキャビアに変身した
Making love on a long hot summers night/暑く長い夏の夜に愛し合った

I thought you fell in love with me watching Casablance/君もカサブランカを見ながら僕に恋したと思う
Holding hands 'neath the paddle fans in Rick's Candle lit cafe/キャンドルが灯るリックズ・キャフェの天井で回っているファンの下で手を握り合い
Hiding in the shadows from the spies./スパイから影に身を隠した
Moroccan moonlight in your eyes/モロッコの月の光が君の瞳に
Making magic at the movies in my old chevrolet/僕の古いシボレーの中で映画で魔術を演じている

Oh! A kiss is still a kiss in Casablanca/ああ、カサブランカではキスは今もキス
But a kiss is not a kiss without your sigh/でも君の溜息がなければキスはキスじゃない
Please come back to me in Casablanca/カサブランカに戻って来ておくれ
I love you more and more each day as time goes by/時が経つにつれて日ごと君への想いが増すばかり

I guess there're many broken hearts in Casablanca/カサブランカで破れた恋は沢山あるだろう
You know I've never really been there. so, I don't know/行ったことないからよく分からないけど
I guess our love story will never be seen on the big wide silver screen/僕達のラブストーリーがこの大きな銀幕に映し出されることはないだろう
But it hurt just as bad when I had to watch you go/でも、君が去っていくのを見送らなければならなかった時と同じように胸が痛んだ

"kiss is still a kiss..."や"as times go by"といった名文句を織り込んで旨くドラマを演出しています。個人的には"Popcorn and cokes beneath the stars became champagne and caviar"が旨いと思います。7行目の"spies"が約し難いところですが、周囲の目から身を隠す、というような意味合いでしょうか。"Making magic at the movies..."は映画の登場人物になりきっているという事でしょう。それで最後の行で全く他人事とは思えず、胸が痛むと言っているようです。