2008年04月28日

●Heatwave / Carmen McRae

朝夕はかなり涼しくなりますが、日中はもう真夏の気温になりました。そこで、カーメン・マックレーとバイブ奏者のカル・ジェイダーが共演したこのアルバムからタイトル曲を選んで見ました。カル・ジェイダーは西海岸で主にラテン系のバンドでバイブを叩いており、非常に明るい演奏を聞かせてくれますが、さすがにカーメン姐御との共演ではバックに廻ったという感じです。ここでは姐御の堂々とした歌いっぷりを上手くバッキングしヒートウェーブの雰囲気を盛り上げています。残念ながらこの演奏がカル・ジェイダーの最後の録音になってしまいました。

Heatwave

We're havin' a heatwave/熱波がある
A tropical heatwave/熱帯の熱波が
The temperature's risin'/温度は上がる
It isn't suprisin'/そんなの当然
She certainly can Cancan/彼女はカンカンを踊りまくる

She started the heatwave/彼女が熱波を起こしている
By letting her seat wave/彼女の腰のうねりで
Such a way that the customers say that/客もつい口にする
She certainly can Cancan/彼女はカンカンを踊りまくる

Gee, her anatomy/ひえぇ、彼女の体が
Made the mercury jump to ninety three/水銀を93゜F迄押し上げる
Yes, sir/その通り

We're having a heatwave/熱波がある
A tropical heatwave/熱帯の熱波が
The way that she moves that thermometer proves that/彼女の動きに合わせて寒暖計も上がっていく
She certainly can Cancan/彼女はカンカンを踊りまくる

Gee, her anatomy/ひえぇ、彼女の体が
Made the mercury jump to ninety three/水銀を93゜F迄押し上げる
Yes, ma'am/その通り


歌詞は単純なフレーズの繰り返しです。7行目の"seat"は「腰」又は「腰の動き」の意味です。華氏93度は摂氏34度位でしょうか。ヒート・ウェイブが来て気温が段々高くなって、カンカンも熱を帯びてくる雰囲気をカーメン・マックレーは余り力を入れすぎず、抜きすぎず、カル・ジェイダーのバイブとのバランスを取って歌っています。これも彼女の名人芸と云って良いでしょう。やはりラムベースのマイタイでも飲みながら聞きたい処です。

2008年04月14日

●カックン・ルンバ/由利徹、南利明

カックンは脱線トリオ(由利徹、南利明、八波むと志)で一世を風靡した一発ギャグで由利徹が膝をたたいて「カックン」というだけの芸ですが、当時は大ウケで、歌だけでなく、カックンを冠した映画が出来たほどです。他には意味不明の「オシャ・マンべ」というのもありました。歌の途中の由利徹の台詞は懐かしい雰囲気一杯ですが、南利明の喋りも聞きたかった処です。

トホホ度★★★☆
お笑い度★★★
意味不明度★★★


からの弁当箱 ぶらさげて
工場帰りの パイ一きげん
おっと そこ行く お姐ちゃん
後ろ姿が ショックだね オヤ
声をかけたら 俺の下宿の お内儀さん
チンチロリンのカックン

(台詞)

酒は飲みたし 金はなし
指をくわえて ちょいとひと思案
おっと お札が 落ちている
俺はあわてて 飛びついて オヤ
拾い上げたら 当たりそこね 宝くじ
チンチロリンのカックン

年は二十か 二十一か
水もしたたる 素敵な美人
おっと その娘が 俺の手を
ぎゅっと握って アイ・ラヴ・ユー オヤ
云ったとたんに 駅のベンチで 目がさめた
チンチロリンのカックン

2008年04月12日

●蒟蒻問答/六代目三遊亭圓生

芭蕉翁という方が、或る年越前の永平寺へお参りを致しました。その、若いお坊さんが五、六人固まって何か無駄っ話をしている。中で一人芭蕉を見知った者が、おいおいおい、ご覧、ご覧、あそこに来たあの男が今有名な、俳句ではえらいと言う芭蕉という男だ。どれ、あれかい、うーむ、あいつは馬鹿だなあ、馬鹿だ。何が?何がといって仏に対して礼もしない。芭蕉という奴は無礼千万の馬鹿野郎だ。

大きな声で話をしていたのが耳に入いりましたものか翁がこちらを静かに振り返って
「仏とは極楽道の案山子かな」
並み居る坊さんがびっくりいたしまして中で一人芭蕉のそばに進み出でて
「あなたはなぜ仏を案山子とはののしられるか?」

扇面をとりだして(勢いよく扇子を開く)
「開けば三覚これ三界、つぼめば一本これ一遍、涼風を忘れたもうないつまでも」 
煽がれた時には二の句が注げませんで、
「あなたはそれほど悟りを開いていながらなぜ正僧になられんのか?」

翁にっことわらって
「夷狄をはなれて禽獣に及ぶ。古池や蛙飛び込む水の音」
と言いながら飄然と去ったと言いますが、
なんのこってすか、私にはちっとも分かりませんで、こういう事をやってみろてんで教わっただけのことで、何かちんぷんかんぷんでございますが、、、(場内爆笑)

これは三遊亭圓生の小噺で蒟蒻問答のまくらの一部です。始めて聞いた時はヤラレタッと思い、笑いが止まりませんでした。読んだだけでは雰囲気が伝わらないかもしれませんが、圓生の難しそうな語り口に引き込まれ、つい騙されてしまったという訳です。まあ、こういう事をやらしたら圓生の右に出るものはないでしょう。また、こういう与太話を作る人も誰だかは分かりませんが、たいしたもんですね。尚、聞き書きですので、漢字は間違ってるかも知れません。

2008年04月08日

●Change Partners / Frank Sinatra

毎年陽気が良くなってくると決まって誰かが「今年の夏はボサノバだ」とか言い出して、でもその予測は当たった試しがありません。しかし、このアルバムはフランク・シナトラとアントニオ・カルロス・ジョビン、そしてアレンジがクラウス・オーガーマンというちょっとオーバーですが、夢の顔合せで、ブームなどとは関係の無いエバーグリーンです。ダイアナ・クラールはこれが最も好きなアルバムの一つでクラウス・オーガーマンにこのアルバムのスコアを借りてアレンジの勉強したそうです。チェンジ・パートナーズはアービング・バーリンの名作で、シナトラは不良っぽさを押さえ、静かに彼女を諭すように歌っています。

Change Partners

Must you dance every dance with the same fortunate man?/きみはずっと同じラッキーな奴とダンスを踊らなければならないの?
You have danced with him since the music began./音楽が始まってからずっと彼と踊ってるじゃないか
Won't you change partners and dance with me?/パートナーを変えて、僕と踊ってくれないか?

Must you dance quite so close with your lips touching his face?/君は唇が彼の顔に触れる位近づいて踊らなきゃならないのかい?
Can't you see?/分からないの?
I'm longing to be in his place?/ぼくが彼と入れ替わりたいのが
Won't you change partners and dance with me?/パートナーを変えて僕と踊ってくれないか?

Ask him to sit this one out. /この曲が終わったら座りたいと彼に言って
while you're alone,/きみが一人になった間に
I'll tell the waiter to tell him he's wanted on the telephone./僕はウェイターに彼に電話が入っていると言わせるから
You've been locked in his arms ever since heaven-knows-when./いつからかは分からないけど、君が彼の腕に捕まってる
Won't you change partners/パートナーを変えておくれ
and then, you may never want to change partners again./そうしたら、二度とまたパートナーを変えたくはならないよ


非常に分かりやすい歌詞です。当時はウェイターにチップを渡せば偽電話の取次なんてのは簡単に出来たんでしょうね。そして、自分に変わってくれたら、もう二度とパートナーを変えたくなくなるよなどという自信たっぷりな台詞もシナトラなら良しとしましょう。
このアルバムはどの曲も文句なしで、一曲だけ選ぶのは至難の技です。I Concentrate On Youも素晴らしい出来です。

2008年04月01日

●小噺(志ん生:猫の皿)

鼠の娘がお嫁に行って直に帰ってきたんで鼠のお母さんが大変怒って
「おまえはあんな結構な処へ行ってなんで帰ってきたんだい?」
「でもお母さん、あそこの家嫌なんですよ」
「どうしていやなの」
「ご隠居さんがねえ」
「やかましいの?」
「ご隠居さんが優しすぎるのよ」
「優しすぎるなら良いじゃないか」
「でも猫なぜ声で」

升落としで鼠を取った時代がありまして
「捕れたかい?」
「捕れた、でっけぇやつふん捕まえたぞおい」
「本当か?大きい?へえー なんだなんだい、おおきかねえじゃねえか、しっぽの処みろい、この鼠はちいせぇぞ」
「うるせえなこんちくしょう、人が捕まえてものにケチをつけやがら」
大きいよ、大きくねえよちいせぇ、大きい、小せえ、大きい、小さいってえと
鼠が升の中で”中”

昔はこの、どこの橋にも橋番という者がいて、その橋から間違いが起こると橋番の責任でございまして
「こういうように毎晩身投げがあっては困るではないか?うん、その方はあそこに居て分からんのか」
「どうも相すいませんでございます」
って上役に叱られて、その晩こう見てるってえと一人ぱたぱたと飛び出していって欄干につかまって飛び込もうとする奴を後ろから捕まえて
「てめぇだろ、毎晩ここから身を投げやがんのは」
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猫の皿のマクラにはこれ以外にも色々と小噺があり、余り有名な噺ではないけれど、あっと思わせるオチで楽しめます。