2008年06月30日

●Mr. Bojangles / Samy Davis Jr.

この歌はニッティ・グリティ・ダートバンドで70年頃大ヒットしました。彼等の歌も淡々と歌ってとても良い雰囲気なんですが、サミーディビスジュニアのカバーの方がずっと味があります。大分前、この歌を歌いながら踊る姿をTVで見て、ウルウル状態になったのを思い出しました。ニッティ・グリティなどという若造には手の届かない芸の世界を感じます。晩年は声が出なくなってしまいましたが、そのダンスは最後まで健在でした。それからこのジャケット。作者は分かりませんが、今にも動いて歌いだしそうな、素晴らしい写真だと思います。

Mr. Bojangles

I knew a man Bojangles and he'd dance for you/ボージャングルは皆のために踊っていたのを僕は知ってる
in worn-out shoes/擦り切れた靴で
With silver hair, a ragged shirt and baggy pants/白髪とボロボロのシャツとダブダブのスボン
He would do the old soft shoe/おじさんは古いsoft shoeを踊っていた
He could jump so high, jump so high/おじさんはとても高く跳べたんだ、高く
And then he'd lightly touch down/そして軽やかに着地していた

I met a man in a cell in New Orleans,/ニューオリンズの留置場でおじさんに会った時
And I was down and out/ボクはどん底だった
He looked to me to be the very eyes of age as he spoke right out/自信たっぷりに話しながら、おじさんは年季の入った目で僕を見た

Talked of life, lord he talked of life/おじさんは人生を語ってくれた、人生を
laughed, slapped his leg and stepped/笑ったり、脚をぴしゃりと叩いたり、ステップを踏んだりしながら

He said his name was Bojangles, then he danced a lick right across the cell/名前はボージャングルだと言って、おじさんは留置所の端から端まで踊った
He grabbed his pants, took a better stance, jumped up high that's when he clicked his heels/ズボンをつまみ上げ、立ち位置を変えると今度は高く跳び踵と踵をカチッと合わせた
Then he let go a laugh, lord he'd let go a laugh/そしておじさんは声を上げて笑った、声を上げて
Shook back his clothes all around/そして乱れた服を払った

That was Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, Lord he could dance/それがボージャングル、ボージャングル、ボージャングル、おじさんは踊れたんだ
He told me of the times he worked for minstrel shows, travelling throughout the South/おじさんはミンストレルショーで南部をくまなく旅行したた頃の話を聞かせてくれた
He spoke with tears of fifteen years how his dog and he, they just traveled about/そして涙ながらに15年間の犬とおじさんの旅回りの暮らしを話してくれた
But his dog up and died, dog up and died/でも、その犬が突然死んだ、突然
And after twenty years he still grieved/20年経ってもおじさんはまだそのことを悲しんでいる

He said, "I dance now and every chance a honky-tonk for my drinks and tips/おじさんは言った。「安い酒場でチャンスがあれば酒とチップを目当てに踊るよ
But most time I spent behind these county bars, you see son, I drink a bit."でも殆ど郡の留置所にいるけどね、お若いの分かるだろう、ちょっと呑むんだ」
Then he shook his head, load when he shook his head/そしておじさんが首を振った、そしておじさんが首を振ると
I could swear I heard someone say please/きっと誰かがプリーズと言うのが聞こえたんだ
Mr. Bojangles, A-Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, come back and dance dance dance please dance/どうかお願いだからボージャングル、ボージャングル、ボージャングル、もう一度、踊っておくれ
A-Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, Mr. Bojangles, dance/ボージャングル、踊っておくれ
Why can't you come back and dance? /もう一度踊ってくれないのかい?
Please Bojangles woon dance again Bojangles/ボージャングル、もう一度踊っておくれ

細部まで聞き取れず歌詞がどうもハッキリしませんが、ストーリーとしては問題ないと思います。"He would do the old soft shoe"は"soft shoe"をしていたと訳せますから"soft shoe"がダンスの名前かもしれません。しかし、タップシューズを買う金もなく、底の柔らかい靴で踊ってたとも訳せるような気がしますが無理筋でしょうか?"I spent behind these county bars"の"behind bars"は「刑務所に入る」という意味です。続いて"You see son, I drink a bit"は僕に対して、ニャッとしながら、刑務所にいたというのは、分かるだろう、ちょっと呑むんだよ、という感じですが、要するに大酒呑みという事です。


2008年06月23日

●時そば

「時そば」と言えば「寿限無」と並んで数ある落語のネタの中で知らない人は居ないという程有名です。

「うまかったよ、幾らだい?」
「へい十六文で」
「銭が小さいから手をだしな、ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ、今何時だい」
「へい、九つで」
「とう、十一、十二、、、、、十六」
これを見ていた与太郎は時を聞いて一文誤魔化したのに気づき、俺もやってみようと翌晩そばを食いに出て来ます。美味くも無いそばを食った後、昨日の客の真似して
「銭が小さいから手をだしな、ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ、今何時だい」
「へい、四つで」
「いつ、むう、なな、やあ、、、、、、」
というのがどなたもご存知のオチです。

処で、件の蕎麦屋は昨夜の客には「九つ」と答えたのに与太郎にはなぜ「四つ」と言ったんでしょうか?勿論蕎麦屋は謹厳実直で、与太郎を誤魔化そうなんて気持ちはさらにありません。

江戸時代の暦は今と違って太陽太陰暦で、時刻の数え方も日の出から日の入り迄の時間を基準にした不定時法でした。このため夏と冬では一時(約2時間)の長さも違ってきます。ここでは簡単の為に日の出が朝6時、日の入りが18時と仮定して現代の時間に合わせてみると

0時暁九つ
2時暁八つ
4時暁七つ
6時明け六つ
8時朝五つ
10時朝四つ
12時昼九つ
14時昼八つ
16時昼七つ
18時暮れ六つ
20時夜五つ
22時夜四つ
24時暁九つ
当時は時刻の呼び方が複雑で真夜中と正午が九つ、そこから一つずつ減って行きます。前夜の客は九つ頃そばを食っていたので、蕎麦屋は九つと答えたわけです。処が翌日の与太郎はちょっと早めに食ってしまったので、時を聞いたら蕎麦屋が四つと答えたというオチです。江戸時代や明治の頃の落語ファンなら当然と思って笑ったのでしょうが、私にはその謎が良く分からなかったという訳です。

時刻は数字以外にも十二支で呼ぶ呼び方もあり「草木も眠る丑三つ時」と言えば丑ですから午前2時となり、その後の一刻を四つに分けた三つ目を指しています。ですから今風に言えば午前三時半になります。

ちょっと脱線しますが、回教国は今でも完全太陰暦を使っています。毎月大の月と小の月が交互に来ます。このため一年は30日x6+29日x6=354日。つまり一年が354日ですから、太陽暦よりも11日短くなります。このため33年たつと1歳、66年たつと2歳我々より余計に年を取ることになります。完全太陰暦の場合33年で一回りする訳ですから、或る年は8月が真冬になったり、2月が真夏になったりして具合が悪いんぢゃないか?などと余計な心配してしまいますが大丈夫。完全太陰暦を採用してる国は1年中夏なんです。

2008年06月17日

●ビッグ・バンドの終焉

6月12日の日経朝刊最終面に北野タダオ氏の「ジャズ楽団主席”卒業”」という寄稿があった。北野氏はアロージャズオーケストラというビッグバンドのバンマスであったが、高齢の為引退する由。これまでのバンド活動の想いでが綿綿と綴られている。

ところが文中聞き捨てならない一節があった。「アローはプロとして定期演奏会を続ける、おそらく国内唯一のビッグバンドだ。」ビッグバンドといえば歌謡曲番組で見た事があると思いますが舞台右側に3段の雛壇があり、上がトランペット4本、中段にトロンボーン4本、一番下が左からアルトサックス2本、テナーサックス2本、バリトンサックス1本。舞台一番左はピアノ、その右にギター、ベース、ドラムスという構成のバンドです。

デューク・エリントン楽団、カウント・ベーシー楽団等々素晴らしいバンドが幾つもありますが、日本で有名な処を思いつくまま挙げてみると、宮間利之とニューハード、原信夫とシャープス&フラッツ、高橋達也と東京ユニオン、森寿男とブルーコーツ、奥田宗弘とブルースカイ・オーケストラ、ダン池田(後に三原綱木)とニューブリード、スマイリー小原とスカイライナーズ、見砂直照と東京キューバンボーイズ等々。これらの殆どが活動を休止していると言う。

びっくりこいて調べてみるとニューハードとシャープス&フラッツは2006年迄、演奏会の記録はあるが、それ以降は無し。唯一森寿男とブルーコーツが本年8月31日の第40回サマージャズ(日比谷野音では無く日比谷公会堂)に出演予定があった。その他は既に解散。

最近は歌手が自分の小バンドで歌ったり、カラオケ或いはPCで済ませてしまうので、昔のような歌謡曲の仕事が無くなりバンドを維持する事が非常に困難になったようだ。勿論ビッグバンドは歌謡曲の伴奏だけでなく、ダンス、ジャズ或いはレコード録音の際のスタジオワーク等々をこなし、かつてはミュージックエンターテインメントの中核にあった。またインキュベータの役割も果たしており、これまで優秀な歌手やミュージシャンを多数輩出している。しかし、もし無くなれば一体これからビッグバンドのミュージシャン達はどうなる?そして何よりあの鳥肌の立つ様な煌びやかなサウンドが聞けなくなるかと思うと誠に残念としか言いようが無い。

余りにも通俗な言い方ではあるが、また一つ昭和が消えたというところであろうか。

2008年06月15日

●愛した愛が好き/アストラッド・ジルベルト

ボサノバ続きという事でアストラッド・ジルベルトの「ゴールデン・ジャパニーズ・アルバム」からの一曲です。このLPは彼女に全曲日本語で歌わせるという無謀な企画で、A面6曲が日本産、B面6曲がボサノバナンバーです。彼女は元々今風に言う処のヘタウマ歌手で器用になんでもこなせるというタイプではありません。そこへ持ってきて訳分からん日本語歌詞ですから、とやかく言うのは少々可哀想な気もしますが、企画も含めて久々のトホホ度満点献上です。本人としては一所懸命歌っているように思われ、お笑い度というよりも涙を誘う(少々オーバー?)ものがあります。ここに使用した音源はCD化されたものを神保町の古レコード屋で偶然見つけたんですが、珍盤度ではこのブログ随一と言えます。尚、"I Love Old Love"という英題がついていますが、英語の歌詞はありません。

トホホ度★★★★★
お笑い度★★
意味不明度★★★

こぼしたワインも
煙草のけむりも
去年の花火も消えたのに
でも私の心にあなたは消えない
二人の愛した愛が好き

こわれたギターも
昨日の涙も
手紙と一緒に捨てたのに
でも私の心がにあなたは消えない
二人の愛した愛が好き

2008年06月04日

●Blame It On The Bossa Nova / Eydie Gorme

スイング・ジャーナル6月号によれば今年はボサノバ誕生50周年だそうです。その起源はジョアン・ジルベルトの「想いであふれて」がヒットした1958年だそうですが、少々牽強付会の趣有りです。そんな記事を読んでる時ふとこの曲を思い出しました。「恋のボサノバ」という安易な邦題が付いてます。イーディ・ゴーメの名前を覚えている人は余りいないかもしれませんが、この曲は彼女の初期の大ヒットで、ボサノバという単語の普及に一役買ったと思います。(曲調はボサノバとは言えませんが。日本で言えば小林旭の「アキラのボサノバ」という処でしょうか?)彼女はニューヨーク、ブロンクスの俗に言うスパニッシュ・ハーレムで育った事もあり、スペイン語も上手く、日本ではトリオ・ロス・パンチョスとの共演の方が有名かもしれません。後年はイージーリスニングというカテゴリーで活躍してました。毎年今頃の季節になると今年こそ何とかボサノバを盛り上げようという話が出てきますが、なんでだろう?それはね、み~んなボサノバが悪いのよ。

Blame It On The Bossa Nova

I was at a dance when he caught my eye/彼が私の目を見た時私は踊ってた
Standin' all alone lookin' sad and shy/ひとりぽっちで立って、悲しくシャイに見えたわ
We began to dance, swaying' to and fro/私たちは前や後ろに揺れて踊りだしたの
And soon I knew I'd never let him go/そしてすぐに彼を二度と放したくないと思ったの

Blame it on the bossa nova with its magic spell/みんなボサノバの魔法の呪文が悪いのよ
Blame it on the bossa nova that he did so well/ボサノバのせいで彼はとっても上手くやったわ
Oh, it all began with just one little dance/すべてはちょっとしたダンスから始まった
But then it ended up a big romance/でもそれは最後に大きな恋になったわ
Blame it on the bossa nova/ボサノバのせいよ
The dance of love/恋のダンス

(Now was it the moon?)/(それは月のせい?)
No, no, the bossa nova/いえいえ、ボサノバのせいよ
(Or the stars above?)/(空のお星様?)
No, no, the bossa nova/いえいえ、ボサノバよ
(Now was it the tune?)/(その曲のせい?)
Yeah, yeah, the bossa nova/そうよそうなのよ、ボサノバよ
(The dance of love)/(恋のダンス)

Now I'm glad to say I'm his bride to be/そして私は喜んで彼の花嫁になりたいって言えるわ
And we're gonna raise a family/そして私たち家庭を築くの
And when our kids ask how it came about/そして子供たちがどうしてこうなったの?と聞いたら
I'm gonna say to them without a doubt/私は間違いなく子供たちに言うわ

Blame it on the bossa nova with its magic spell/みんなボサノバの魔法の呪文が悪いのよ
Blame it on the bossa nova that he did so well/ボサノバのせいで彼はとっても上手くやったわ
Oh, it all began with just one little dance/すべてはちょっとしたダンスから始まった
But then it ended up a big romance/でもそれは最後に大きな恋になったわ
Blame it on the bossa nova/ボサノバのせいよ
The dance of love/恋のダンス


"Blame it on Bossa Nova"とは上手い題名を付けたもんです。一人ぼっちで寂しそうなシャイな彼がボサノバのせいで、私の恋人になった。そして子供に対する言い訳もボサノバという、飛躍が素晴らしいですね。最近の訳分からん歌ばかり歌ってるバンドはこんな歌詞を見習って欲しいものです。ついでですが今年は月光仮面誕生50周年でもあるようです。