●A Chage Is Gonna Come / Sam Cooke
米大統領選はオバマ氏の勝利となりましたが、これを一番喜んでいるのは誰か?公立学校の先生だそうです。これで黒人生徒に「君たちも頑張れば大統領にだってなれる」と言えるようになったからです。では、一番残念に思っているのは?アメリカのコメディアンのようです。これまでブッシュネタで散々稼いで来た訳ですが、マケイン氏ならペイリンと絡めて色々とネタが作れるのに、オバマ氏ではこれまで余り大きな失点がないのと黒人だけにからかいにくい、という事情で頭を痛めているようです。
このオバマ氏の勝利演説にサムクックのチェンジ・イズ・ゴナ・カムが引用されている事をピーター・バラカン氏の指摘で知りました。ネットで原文にあたってみると
It's been a long time coming, but tonight, because of what we did on this day, in this election, at this defining moment, change has come to America.
原曲では"A change is gonna come"とこれから変化が起きる事を期待していますが、演説では"A Change has come"と現在完了形になっており、自身の当選によってChangeが始まったんだという事を強調しているのでしょう。ネットではこの演説の映像もありますが、米人でもオバマ支持でもないのに何となく感動してしまう、そんな演説の力を見てしまいます。
この曲はサム・クックの1964年の大ヒットです。しかし、この年の暮に彼はLAのモテルで銃殺されてしまいます。未だ33歳でした。サム・クックがモテルのマネジャーに襲い掛かったのが原因という事になっていますが、詳細は全く捜査されず、未だに謎のままです。
A Change Is Gonna Come
I was born by the river in a little tent/僕は川の側の小さなテントで生まれた
Oh and just like the river I been a runnin' ever since/それ以来川のように走り続けた
It's been a long, a long time coming but I know/それはとても長い時間がかかる、でも僕は知っている
A change gon' come oh yes it will/変化は来る、そう必ず来る
It's been too hard living but I'm afraid to die/酷い生活が続いたしかし僕は死を恐れる
Cuz I don't know what's up there beyond the sky/それは空の向こうの世界に何が起きるか分からないからだ
It's been a long, a long time coming but I know/それはとても長い時間がかかる、でも僕は知っている
A change gon' come oh yes it will/変化は来る、そう必ず来る
I go to the movie, and I go downtown/映画を見に行く、そして街にでる
Somebody keep tellin me "don't hang around"/誰かがいつも僕に言う「ウロウロするな」と
It's been a long, a long time coming, but I know/それはとても長い時間がかかる、でも僕は知っている
A change gon' come oh yes it will/変化は来る、そう必ず来る
Then I go to my brother and I say "brother, help me please" /そして僕は兄貴のところへ「兄貴、どうか助けてくれ」と頼みに行く
But he winds up knocking me back down on my knees/でも兄貴は僕を締め上げ叩き、膝から落とされる
There been times that I thought I couldn't last for long/僕はこんな事はそんなに長く続かせないと何度も思った
Now I think I'm able to carry on/今こそ僕は出来ると思う
It's been a long, a long time coming but I know/それはとても長い時間がかかる、でも僕は知っている
A change gon' come, oh yes it will/変化は来る、そう必ず来る
5行目に「死を恐れる」というくだりがありますが、これは多分古いブルースに良く出てくる、毎日こんな辛い労働に苦しむ位なら死んで天国へ行った方が良い、という諦めのフレーズに対し、Changeが起きるまで頑張るんだという意志を表しているように思われます。彼は父親の影響で長く教会の聖歌隊で歌い、その後ゴスペルを歌っていた事もあり、黒人の地位向上運動にかなり感心をもっていたようです。1964年頃は人種差別はありませんが、映画「ヘア・スプレー」に見られるような人種隔離 (Segregation)、はまだあった時代ですから、このような歌に反感を持つ白人も多かった筈です。彼の歌が40数年後の大統領スピーチに引用される事をサムが知ったらどんな感慨をもつでしょうか?