2009年11月26日

●外食無情/上野茂都


上野茂都は武蔵野美術大学の彫刻の先生らしいんですが、三味線の弾き語りが得意でユーチューブにも何曲か彼の歌がアップロードされています。この歌はいかにもありがちな外食での悲劇を淡々と歌いあげています。特に2番の「かかっているのが Jポツプ」という歌詞は私の半笑い中枢を大いに刺激してくれました。

トホホ度★★★★☆
お笑い度★★★☆
意味不明度★☆

 
 港の灯りが 霧に滲む頃
 初めて来た街 歩き疲れたね
 しばらく休んで ゆきましょう
 粋な構えが 並ぶ道
 幾つか選んだ その中で
 入ったお店が 最悪で

 注文聞くのも 怠そうに
 奥でTVを 見てる声
 椅子に座らせ それっきり
 待てど暮らせど 出てこない
 気まずい空気に 包まれて
 やっと出てきた 代物を
 一口食べた その後で
 君は無口な 人になり
 あれから間も無く 恋は終わったね

 通りの賑わい 人の騒めきも
 何時しか途切れて 話し疲れたね
 座れる所へ ゆきましょう
 洒落た名前が 招く道
 幾つも迷った その中で
 入ったお店が 最低で

 顔も見ぬよな あしらいに
 趣味を疑う 飾り物
 店員同士の 痴話喧嘩
 かかっているのが Jポツプ
 お品書きだけ 立派でも
 作っているのは 素人で
 高い勘定 見た時に
 君は他人の 顔になり
 あれから程無く 愛は終わったね

2009年11月22日

●Here's That Rainy Day / Barbra Streisand

バーバラ・ストライザンドの新しいアルバムです。プロデュースはトミー・リピューマとダイアナ・クラールなので、聴く前から音が聞こえてくるようですが、確かに期待通りのアレンジと言えます。バーバラ・ストライザンドはこのアルバムでは全体的に控え目に落ち着いて歌っています。夜に聴くと言うよりは午後のティータイムという感じでしょうか?

Here's That Rainy Day

Maybe I should have saved those leftover dreams/多分、夢を少し残しておくべきだったのかも知れない
Funny but here's that rainy day/不思議ね、こんな日に限って雨が降る
Here's that rainy day they told me about/いつかは雨の日が来ると人は言う
And I laughed at the thought that it might turn out this way/そんなの馬鹿げてるってたら、私の番になっていた

Where is that worn out wish that I threw aside/いつのまにか忘れてしまったあの頃の想いはどこに行ったんでしょう
After it brought my love so near/それが私と彼との出会いを導いてくれたというのに
Funny how love becomes a cold rainy day/不思議ね、素敵な恋も最後は冷たい雨の一日に変わる
Funny that rainy day is here/本当に不思議ね、今日に限って雨が降る

1行目の"leftover dreams"は若い頃に恋愛に憧れた純な気持ちなのでしょう。しかし今は後悔しています。こんな日がまさか自分に来るとは思ってもいなかった。現状に満足し、出会った頃の気持ちが薄れたと反省しています。そして今日は冷たい雨が降っています。途中の間奏は抑えた表現で終始し、次に彼女が歌いだすとかなり悔恨の情が深くなったように聞こえます。さすがに上手いと言わざるをえません。
彼女はライナーノーツの中で「この曲は以前から吹き込みたいと思っていたが、やっとその好機を得た。この素晴らしい歌詞にあるような気持ちは誰でも一度や二度は経験してるんじゃないか」と書いています。

2009年11月14日

●さすらいの指パッチン/ポール牧

ポール牧と言えば関武とのコント・ラッキー7でちょいと気障な役回りで活躍してました。そして何と言っても指パッチン。しかし、これが歌になるとは思いませんでした。彼は僧侶で晩年は僧侶に専念していました。その為か、歌詞の中に坊主が出てきたり、台詞の中で指パッチンは宇宙からのメッセージなどと無理な事を言って笑わせてくれます。

トホホ度★★☆
お笑い度★★★
意味不明度★★★☆


 パッチンパッチン
 パ~ッチン
 パッチンパッチン
 パ~ッチン

 愛を込めましょ指先に
 なぜか体が震えるの
 瞳見つめて打ちましょう
 なぜかなぜか涙溢れるわ

 坊主にできない恋だから
 そくざに出来ない愛だから

 パッチンパッチンパ~ッチン
 パッチンパッチンパ~ッチン

 指パッチンがメッセージ
 ああ、さすらいの指パッチン

 願い込めましょ指先に
 なぜか楽しくなっちゃうの
 君の幸せ祈りましょう。
 なぜか、なぜか涙溢れるわ

 忘れるでしょう、苦しさを
 捨てられ泣くよな苦しみを

 パッチンパッチンパ~ッチン
 パッチンパッチンパ~ッチン

 指パッチンがメッセージ
 ああ、さすらいの指パッチン

 祈り込めましょ指先に
 なぜか嬉しさ募ります
 愛を込めますもう一度
 なぜか、なぜか思い伝わるわ

 生きてゆくのはつらいけど
 たった一つの命です

 パッチンパッチンパ~ッチン
 パッチンパッチンパ~ッチン

 指パッチンがメッセージ
 ああ、さすらいの指パッチン

2009年11月 7日

●パイレーツ・ロック

「パイレーツ・ロック」(原題:
The Boat That Rocked)という映画を見てきました。時代は1966年。この頃英国ではラジオ放送は国営放送であるBBCの2波しかなく、(NHK第1、第2という感じです)まだ民放はありませんでした。当時は既にロック全盛で色々なロックの名曲が出て来た頃です。ところが英国では電波法でロックのレコードを放送できる時間を制限していました。映画の冒頭に1日45分との説明があります。これは正確に言うと当時未だ英国の演奏家組合の「放送でレコードをかけると仕事が奪われる」という主張に則りレコードを掛ける時間を制限し、その他はBBCのスタジオから生演奏を放送していました。時々BBCライブという音源が出てくるのはこのためです。この様な状況では最新のロックを聞いて、踊りたい英国の若者の不満は募るばかりです。そこで英国の法律が適用されない公海に船を浮かべ、船に建てたアンテナから英国本土に24時間ロックを流し続けたのがこの"Radio London"という海賊放送局でした。(映画では"Radio Rock"になっています。)

映画では海賊船からの放送の様子と船内の乱痴気騒ぎがコミカルに描かれています。この海賊放送に英国政府は手を焼き、1967年9月に法律で海賊放送を禁止しました。放送に関わった者は勿論コマーシャルを依頼した企業も罰せられる事になり、さすがの海賊放送も停止せざるを得ない事態となりました。

この放送をリアル・タイムで聞いていたピーター・バラカン氏によれば最後の放送日はラジオの周りに若者が集まり、文字通り泣きながら聞いていたようです。その日はビーチボーイズの"Heroes And Villains"「正義と悪漢」が何度も掛ったんですが、要するに正義がRadio Londonで悪漢が英国政府という訳です。

映画では後半タイタニック紛いのパニック騒動になりますが、これは事実ではありません。海賊放送が禁止された後、海賊船で活躍したDJはBBCに雇われてDJを続けた人もいるようです。当然ではありますが、当時のロックが次々と聞けて懐かしい感触に浸れたのは良かったのですが、67年に終わった筈なのに68年の曲が掛ったのは一寸違和感を感じました。見る前はドキュメンタリー風かなと思っていたんですが、実際は明るいコミカルな映画で、海賊放送に手を焼く英国政府にも笑えました。予想とは違いましたが、非常に楽しめた音楽映画でした。